GWの盛岡は桜色に若葉色。やはらかにあをめる北上の柳色! 北上川に中津川。岩手公園。ゆっくりしていけば?といった雰囲気が、控えめにそこかしこに漂っている気がする。いいとこだなぁ。コンサートが始まるまで、そんなことを思いながら散策していた。
会場は岩手県公会堂。創建80年というレトロな造りの会場にぴっちり並んだ小さな座席は、昭和の日本人の体型に合わせて作られたんだろうか。ぎゅうぎゅうとお尻を詰め込みながら、みんなアッコちゃんの登場を待つ。
そして、開演のアナウンスからやや間があってアッコちゃんが出てきた。Gパンだ! 丈が短めのきれいめデニムに、半袖パフスリーブのカットソー。Aラインのシルエットで、スモックタイプのかぶるやつ。青?地に朱赤の花柄。足元は黒いサンダル。普段着ふうの格好が「出前」っぽい。
1曲目は「BAKABON」でスタート。ものすごくさりげない歌い出し。
アルバム『LOVE LIFE』(1991)に収録されてるこの曲の、両足で大地を踏みしめるみたいな力強い明るさも好きだけど、このコンサートの肩の力が抜けた「これでいいのだ」もアリだな。何より今日のこの街のこの天気に合っている。お城の跡の公園でお花見をしていた人たちののんびりした笑顔を思い出しながら、ふわふわしたいい気分になった。
●「ひとりぼっちはやめた」
●「DAVID」
てなことを思っていると、この2曲があとに続く。ああ、やっぱり盛岡をイメージした選曲なのかな。裏表のない、素直でやさしい曲。私がこの街に持った印象そのままだ。
●「大寒町」
「こういう北の町にくると、こういう歌が歌いたくなります」とアッコちゃん。ファンの人からのメールで、しばらく歌ってなくて忘れ去っていたこの曲の存在を思い出したとか。
●「さようなら」
●「いいこ いいこ」
歌詞に「桜」の入った2曲。「いいこ いいこ」、CDで聞いてるときは、特にお気に入りというわけでもなかったのに、今回のコンサートではかなり印象に残っている。CDで聞くより説得力のある感じで歌の中身が伝わってきたというか。ピアノ伴奏の迫力のせい? それとも、客席に向かって惜しみなく注がれる、アッコちゃんの120%笑顔のせいか。
●「ニットキャップマン」
盛岡にはこういうもの悲しい明るさが似合う。この曲の乾いたさびしさは、いつ聞いてもいいな。
●「グッドモーニング」
この歌詞、このメロディーのぎゅっとした苦々しさは何!? 絶対くるりのカバーだろうなーと思ったら、やはりそうでした。アッコちゃんが演奏すると、苦いけど青くなく、乾いているトコロがさすがです。
●「ラーメンたべたい」
力強い「ラーメン」。スープが黒そう。焦がししょうゆが入ってそう。京都にそういうラーメンがあるんです。
●「雷が鳴る前に」
ガツンとしたラーメンのあとに、箸休めの一曲。イントロのピアノのメロディーの清涼感が好き。
●「誰がために」
ごーんと重い曲。でも、アッコちゃんのピアノの強さが美しくて、お気に入りの曲。生で聞けてうれしいな。岩手公会堂の「南部魂の入ったピアノ」(アッコちゃん談)との相性も素晴らしい。
●「Night Train Home」
●「SUPER FOLK SONG」
●「ごはんができたよ」
グランドピアノ「南部魂」号とアッコちゃんのパワーがさく裂。フォルテッシモ、フォルテッシモ、フォルテッシモ!おおーまだいきますか!!みたいな力強いタッチに魅せられました。「SUPER FOLK SONG」のあとの拍手、すごかった。私も息するの忘れてました。
アンコールは予想通り、次↓の2曲。でも絶対聞きたかった外せない2曲。満足!
●「Green Tea Farm」
●「ひとつだけ」
実はこれまで「出前コンサート」に行ったことなかった私。「さとがえるコンサート」などの全国ツアーが、あらかじめセレクトされた曲+その土地によってセレクトされた数曲で構成されるのに対して、「出前」は、その街にその季節に合った曲がオーダーメードで選ばれてるような気がしました。そして今回のコンサート、客席に向かって微笑みかけるアッコちゃんの笑顔が、見ていてどんどん大きくなるのがわかった。客席の笑顔に呼応してたんだと思う。私の隣の席の男性も、曲がすすむごとに拍手の本気度が上がっていってたもん。いいコンサートだった。出前コンサート追っかけ旅行、またやりたいな。